08/20/2024

1st day/3

Landing in futuristic chaos.
近未来カオスのド真中に到着

Kowloon, Hong Kong.

2 nights 3 days

08/20/2024 – 08/22/2024

Day 1

8/20(火) 13:00 午後休を取り、成田空港へ
移動(エアポート快特)、庶務(ラウンジ)、出国審査
18:20 成田国際空港発
夕食、庶務
22:20 香港国際空港着
入国審査
22:48 Airport Station発/Airport Express
移動(Airport Express、地下鉄乗り継ぎ)路線図
23:51 Sung Wong Toi Station(宋王墓駅)着
ホテルまでの間の夜散歩(買い出し)
00:20 ホテル着、執筆
03:30 就寝

2024年8月20日、猛暑日
(1日目香港便の中から)

1個目の台風をやりすごし
いまはちょうど同僚の故郷の島の上空を過ぎた辺り
まもなく国境を越えて台北を通る
その先は、きな臭いユーラシア大陸と台湾の海峡が航路になっているようだ
100年後、香港に続いて台湾までも中国に編入されてしまうのだろうか
AppleやTSMCは既に動いたが、IT業界にとっては重要な地政学的リスクを抱えている地域だ
高齢化・少子化社会となり弱体化した日本だって人ごとじゃない

今回は私用とはいえ
今回は2日目のサミットに参加するのが目的なので
街で遊ぶ時間はほぼ取れない
それに前回に続き今回も着陸は深夜だ
なので、なるべく手続きやモノは減らしてシンプルにしておいた
電車・バス・食事などの支払関係はすべてVISAカードのタッチ決済だけでイケるはずなので
香港ドルすらもたないで出発
あとは、個人用に持つのは珍しいとよく言われる改造済みのThinkPadと
セルステーション情報をハックできるアプリを仕込んだDSDV対応のスマホだ
現地SIMの調達もせず、今回は予約制のローミング契約のみ
上司からは当局に連行されないことが渡航の条件とされていたし
同僚からは写真を撮ると潜んでいる当局に連行されるぞとさんざん脅かされたので
転売されるのもしゃくだし、Apple製品は一切持っていかないことにする

時計を1時間戻してGMT+8の21:40、
飛行機が香港国際空港の管制空域内に入ると、
遅れていた他の便の順番待ちのため香港島の手前で旋回させられ
20分遅れの22:20に着陸した
足早に空港シャトルを乗降して、入国審査に並ぶ
なんとここまでトイレが1箇所も見当たらない
22:48、入国審査を出た先のホームに止っていたAirport Expressに滑り込んでAirport Station(機場駅)を定刻で出発
20分ほど乗ったら最初の1駅目で降り、事前に当局から買っておいた往復割引券のQRコードを改札機にスキャンさせて出場する
地下鉄1路線目の乗換最中に、ようやくトイレを1箇所見つけた
この乗換通路には、ダイソーも入っていた
ホームや乗換通路はとても広大で、まるで僕が小人になったような感覚になる
さすがに時間帯が深夜だけに、人もまばらだ
その後は九龍の中心地付近の駅でさらに乗換、ホテルのある九龍湾付近のSung Wong Toi Station(宋王墓駅)へと移動する

駅の設備に対して、地下鉄の車高や車幅は東京よりも随分狭く感じる
椅子はもちろん落書き対策用のステンレス製
ところどころ空いているが、時間帯にしては結構な乗車率だ
それにしても人々がよく会話している
液晶ディスプレイから流れる広告の音声と混ざって
なんだか大阪の電車並に賑やかな車内だ

スマホに目を移すと
中国ではGoogleサービスは使えないと聞くが
香港では使えるようだ
ただし、Google検索結果の画面については
検索ワードが赤く塗られていたり
他の国では見たことがないような違和感をところどころ感じた
SNSも普通に使えるが
「パスワードが誰かに変えられた」というフェイクっぽいメッセージが出て
セッションが何度も切れることもある
あと、写真の送信がやたら遅いのに気がついて
監視されているような感覚になり、もう送るのをやめた

セルステーション情報をハックするアプリを見てみた
空港ではセルステーションのキャリア名がChina mobileと表記されていたが
今見てみると「3」としか書かれていない
……いま流れているデータの接続先キャリアが、3? なにの3? 当局の?
背筋がゾッとして、VPNが切れていないかを確かめた
やばい……切れてる
慌てて、VPNなしではインターネット網に接続しない設定に切り替えたが……既に後の祭りか
これは準備不足だった
もちろんVPNだけが答えではないが素っ裸で接続するよりは少しはマシだ

2024年10月21日、29℃、雨
(1日目の深夜)

日付が変わって0時過ぎ、
宋王墓という大層な墓所の名前の駅を地上に上がると
そこは九龍湾のふ頭だった
15年前の訪問時は対岸にある香港島がメインの舞台だったのだが、
明日は九龍半島側のウォーターフロントにある高級ホテルが会場なので、
比較的近くの九龍湾にホテルを押さえていた
ここは、背後にKowloon Walled City(九龍城砦)がそびえ立っていた場所だ

眼の前には工事中の区画の中に解体中の九龍の伝統的な超高層Coffinマンションと、
さらにその2倍の高さはある新しいタワマンが隙間に何本も建設途中だ
でかでかとバリケードに貼り付けてあった当局の広告「……改善。それは、当局の心。」とかいう気持ち悪いコピーライトを横目に
改札そばのセブンイレブンで買っておいたアイスクリームを頬張って口直しする
……かくも人間という生き物は皆、天空を目指していくのだろうか
バベルが出るかもしれないぜ?

29度。湿度も低めで、予想外に涼しい
小雨が降っている中
普通にランニングしている人がいる
ここは赤道に近いのに、いまは東京の方が随分と蒸し暑いようだ

工事中の区画の道路を1本渡るとそこは、旧九龍城砦の外界に広がる旧市街地に出た
人気のない、まるで廃業した歌舞伎町のような見た目といったいいのだろうか
そっくりな場所と言えそうなのは、
行ったことはないが、日本で言えば軍艦島っぽいかもしれない
植木や鉢植えなどは一切なく
空以外をひび割れたコンクリートに覆われた街
辺りの壁は剥がれ落ち
看板は傾き
ネオンはショート
落書きだらけのシャッター
地面には使用済みのコンドームがあちこち
頭上から雨とは異なる液体がぽつりぽつりと降ってくる
どこかで何かが焼けているような異臭も入り交じる廃墟廃人の中を練り歩く
道路は左側通行、信号機は英国式
中国語の下には英語も併記されている
すれ違う人々からは英語と中国語が入り混じって聞こえる
想像を遥かに超えて堕落した現在進行形のカオスぶりに
僕のテンションは若干興奮気味だ
この大都会型近未来カオスのド真中に身を置くと
こんな僕でもまだまだお役に立てることがたくさんあるような気がして
なんだかすーっと自然体になっていく感じがする

城砦の中に生まれ
城砦から外界に出る夢を一途にかなえたとしても
外にも同じ世界があった
……何かの童話を読んでいるような感覚だ

入れ墨の若者連中と一緒にコンビニで水と酒を買い
廃墟ビルの影で子犬の散歩をしている親子の脇を通り過ぎ
それでビクッと身震いした
東京でよくすれ違う子犬とは明らかに異なる雰囲気だったのだ

92224 "Day 1
2024-08-20
Hong Kong
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近未来カオスのド真中に到着"